天音光人の文学的日常

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村上春樹『アフターダーク』と梶井基次郎『檸檬』

村上春樹の『アフターダーク』を読んでいて、梶井基次郎の『檸檬』とよく似た箇所があることに気づきました。

それは終わりの方の a.m.5:10 のところで、登場人物の高橋がセブンイレブンに入ると、チーズの棚に置かれた誰かの携帯電話が突然鳴り出します。高橋がその携帯電話を取ると、「逃げ切れない」という不思議なメッセージが聞こえ、電話はぷつんと切れます。高橋は結局、携帯電話をもとの棚に戻して店を出るのですが、このときに店内に流れていたのが、スガシカオの「バクダン・ジュース」という曲なのです。

これはまさに梶井基次郎の『檸檬』の結末部分と一致しているのではないでしょうか。『檸檬』では、主人公で語り手の「私」は丸善の本の棚に檸檬を置いて出てきて、爆弾を仕掛けて丸善を爆破する想像をします。

ここで檸檬はバクダンに見立てられているわけで、『アフターダーク』の携帯電話もそれに対応しているのではないかという気がします。



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by amanemitsuhito | 2018-09-01 15:11 | 文学一般 | Comments(0)

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