内田康夫の『ぼくが探偵だった夏』(講談社文庫)を読みました。これは名探偵浅見光彦の少年時代、十歳頃の冒険譚です。浅見光彦の家族はもちろんのこと、若かりし頃の竹村警部や軽井沢のセンセ内田康夫や、スミちゃんの先代の家政婦さんも登場してきます。
まだ父親が健在だった頃の軽井沢の別荘で過ごした夏休み、同級生の本島衣理らとある事件に巻き込まれ、光彦は探偵としての才能を生かして、解決へと導きます。虫取りや蛍狩りなど、夏の風物詩とともに、少年時代の夏休みのノスタルジーが漂う作品で、内田康夫の小説としてはちょっと異色の魅力があります。
それにしても、本シリーズにでてくる野沢光子や浅野夏子も登場していますが、この作品でヒロインとなっている本島衣理は本シリーズでは出てきていなかったと思いますが、その後どうなったんでしょうね。ちょっと気になるところです。