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天音光人の文学的日常

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マルクス・ガブリエル『なぜ世界は存在しないのか』を読んでいる途中です

マルクス・ガブリエルの『なぜ世界は存在しないのか』(講談社選書メチエ)を読み始め、三分の一ほどまで読みました。これはAmazonの西洋思想の部門では一位、講談社メチエの中でも一位にランクインされている哲学書です。マルクス・ガブリエルは二十代の若さでドイツのボン大学教授になった秀才で、哲学界の若手のホープとして注目されている人物です。

この本で紹介されているのは、新実在論という考え方だそうです。私も哲学は専門ではないので十分には理解できていないのですが、三分の一ほど読んだところまでで自分なりに理解したのは、一言で言えば、新実在論とは形而上学と構築主義をアウフヘーベンしたような理論だということだと思います。

存在に関する考え方には、一方の極には形而上学があり、もう一方の極には構築主義があります。形而上学では、何か絶対的に真実の客観的存在があるとします。たとえばプラトンのイデア界やカントの物自体のようなものでしょう。主観はそれを正しく認識することはできないにしても、とにかくそんな絶対的な客観的世界が存在するという立場です。一方、構築主義は人間の認識はすべて主観によって作り出される(構築される)ものであり、客観的世界などというものは存在しないとする立場です。

これに対して新実在論は、形而上学的な絶対的な客観世界は存在しないけれども、個別的なもろもろの世界はあらゆるものが無限に存在すると主張します。ただそれは対象領域が異なるというのです。たとえば、宇宙は物理学の対象領域として存在します。では幽霊はどうかというと、これは物理学の対象領域としては存在しないけれども、怪談話の対象領域としては存在するのです。そのように、ありとあらゆるものは対象領域の異なるものとしては存在するけれども、すべての対象領域となるような絶対的な客観世界は存在しないというわけです。

専門家ではないので、私が正しく理解しているかどうかは心許ないのですが、なんとか最後まで読んでみたいと思います。




by amanemitsuhito | 2018-01-19 07:58 | 読書記録

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