春頃に書いた旧作の超短編小説『桜の樹の下で』を少しだけ改稿しました。これもそれなりに完成されていたので、あまり書き直すところはありませんでした。
桜の木の下で死ぬというモティーフは、西行の「花の下にて春死なむ」の歌や、梶井基次郎の『桜の樹の下には』、坂口安吾の『桜の森の満開の下』など文学では多く用いられています。死体の上に桜の花びらが散っているイメージが最初に湧いて、そこからこの物語のアイデアが浮かびました。ただ、ラストはなんとなく浅田次郎の『鉄道員』にも似ていますね。
妻に先立たれた老人が、妻との出会いから死までの想い出を回想するのは、アニメ映画『カールじいさんの空飛ぶ家』の冒頭シーンをヒントにしました。「あなたとめぐりあうことができて、本当に幸せでした」というセリフは、自分が先立つときに相手に言いたい言葉であり、相手が先に死ぬときに言われたい言葉です。
この作品は自分なりにはわりとよくできていると思っているのですが、反響やアクセス数はやはり今ひとつです。やはりちょっとインパクトが不足しているのかもしれません。