天音光人の文学的日常

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村上春樹の『風の歌を聴け』と『ノルウェイの森』のつながり

村上春樹の『風の歌を聴け』を何度か読み返していたら、『ノルウェイの森』とつながる部分がけっこうたくさんあることに気がつきました。とくに登場人物のキャラクターはかなり関連しています。

まず、「僕」が三番目に付き合っていた女の子は自殺していて、第2作の『1973年のピンボール』では直子という名前まで与えられていますので、明らかに『ノルウェイの森』の直子の原型と考えられます。もちろん設定は多少異なるので、同一人物というわけではありませんが。したがって、語り手の「僕」も『ノルウェイの森』の「僕」すなわちワタナベ・トオルの原型といってもいいでしょう。

なお、『風の歌を聴け』で高校時代に「僕」にビーチボーイズのレコードを貸してくれた女の子も、病気の療養のために大学を中退したという設定になっていて(第17章)、直子との共通点となっています。この女の子はもしかすると、京都の阿美寮からDJにリクエストの葉書を書いたのかもしれません。

また、小指のない女の子のキャラクターは『ノルウェイの森』の緑とよく似ています。父親が脳腫瘍で亡くなったという設定(第20章)も同じです。役割としても、小指のない女の子は緑と同じように、付き合っていた女の子が自殺したあとの「僕」と関わることになります。

そのほか、鼠はキズキに似ていますし、一人でアメリカへ行った「僕」の兄と残されたガールフレンド(第27章)は、永沢とハツミさんに似ています。

そんなわけで、『ノルウェイの森』の原型はけっこう多くの部分が『風の歌を聴け』にすでにあるように思われます。




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by amanemitsuhito | 2017-05-17 07:03 | 読書記録 | Comments(0)

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