kindleで安く販売されていたので、角川文庫版の横溝正史『獄門島』を購入して読み始めました。だいぶ前に一度読んだことがあるので、今回で二度目になります。
それでちょっと気づいたことがあります。探偵の金田一耕助が獄門島に到着し、地元の様子を知るために島の床屋に入って散髪をしてもらう場面があるのですが、それが夏目漱石の『草枕』とそっくりなのです。
床屋はもともとは地元の人ではなく江戸っ子で東京の下町言葉を話しますし、髭を荒っぽく剃るので、もうちょっと石鹸をつけてくれるように主人公が頼むところも、『草枕』とまったく同じです。
二人の会話は『獄門島』では鵜飼章三の登場で打ち切られますが、これは『草枕』ではお寺の小僧の了念の登場に当たります。
そんなわけで、横溝正史が漱石の『草枕』のそのシーンを読んでいたことは間違いないだろうと思います。
と、ここまで書いておいて、気になってネットで調べてみたら、同様の指摘がすでになされているようですね。