原田マハの『カフーを待ちわびて』(宝島社文庫)を読みました。これは第1回日本ラブストーリー大賞を受賞した作品で、原田マハのデビュー作ですが、小説として非常によくできています。
主人公はモテない男で、人はいいのですが要領が悪くオクテです。そんな主人公の前に見知らぬ美しい女性が、自分をお嫁さんにしてほしいと言ってやってきます。現実にはありそうもない夢のような話ですが、この女性の正体は何かという謎が最後になって明かされます。
沖縄の離島という舞台設定もいいですし、カフーという犬も魅力的です。プロットも非常にうまく練ってあります。それなりにヒットするのもうなずけます。もちろん、いくつか納得できない点もあり、主人公の友人たちは人間的に好きになれませんし、主人公を捨てて駆け落ちする母親にも共感できません。
それでも、小説の技術という点では、参考にできるところがたくさんありますね。