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天音光人の文学的日常

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内面描写のむずかしさ

昨日のブログで紹介した『新・それでも作家になりたい人のためのブックガイド』で、小説技術の一項目として「内面描写」があげられていますが、これは坪内逍遙の『小説神髄』にもあるように、近代小説の重要な要素の一つです。しかし、それだけに非常に難しい技術だと思います。

心の内面を描写する一番わかりやすい方法は、登場人物の心の内面を書くことです。これは一人称の語り手の場合は非常に有効ですが、一人称の場合は語り手以外の人物の内面を描くのが困難になります。三人称形式の語りだと、視点を移動させれば、どの登場人物の内面も書けますが、頻繁な視点の移動はあまりよくないとされます。

また、そもそも内面をそのまま描写するのは、あまり芸がありません。もう一つの方法は、外面に現れる部分から内面を読者に推測させる方法です。演劇や映画の場合は、主にこの方法が用いられることになると思います。心の内面は動作や表情、言葉や行動に出るわけですから、それによって間接的に内面を描写することができます。

小説の場合は、その二つの方法をどちらも有効に活用するのが望ましいのだろうと思います。




by amanemitsuhito | 2017-06-20 07:38 | 小説作法

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by 天音光人